【保存版】恐怖指数VIX完全ガイド【初心者~上級者対応】

はじめに

投資をする上で知っておきたい重要な指標の一つに「恐怖指数」とも呼ばれるVIX指数があります。VIXは市場のボラティリティ、すなわち価格変動の予想度合いを示す指数で、特に市場が不安定な時期に注目されます。初心者から上級者まで、VIXを理解することで相場全体の状況把握やリスク管理に役立てることができます。本記事では、VIX指数とは何か、その算出方法や特徴、活用方法、日本版指数まで包括的に解説します。

恐怖指数VIXとは何か

**VIX(Volatility Index)**とは、米国の代表的な株価指数であるS&P500にかけられたオプション取引の価格から算出される、予想される価格変動の大きさを示す指数です。数値は「%」で表され、将来30日間の価格変動率(年率換算)を示しています。VIXの数値が高いほど市場では「今後大きく値動きするかもしれない」という不安や緊張感が高まっていることを意味します。このため、VIXは市場心理を反映する指標として「恐怖指数」というニックネームで呼ばれているのです。

VIX指数は1993年に米シカゴ・オプション取引所(CBOE)が導入した指数です。具体的な計算式は複雑ですが、簡単に言えば「オプション市場が織り込んでいる今後の価格変動期待」を数値化したものです。

VIXの算出方法と仕組み

先述の通り、VIXはオプション取引のデータを使って算出されます。S&P500指数に連動するプットオプションとコールオプションの価格から、今後30日間の予想変動率を導き出しています。オプション価格は投資家の心理を反映します。相場が大きく動くと予想されるとき、オプションの価格(プレミアム)は高騰します。逆に、しばらく安定していると考えられるときにはオプション価格は低下します。VIXは多数のオプション価格を総合して算出されるため、市場全体の不安度を示す指数となるのです。

例えば、将来の株価急落を心配する投資家が増えると、値下がりに備えるプットオプションが買われるためプレミアムが上昇します。その結果、VIX指数も上昇します。反対に、市場に楽観ムードが広がりオプションを積極的に買う動きが少ないとき、VIXは低下します。このようにVIXの仕組みは、オプション市場を通じて投資家心理を映し出すものだといえます。

VIXの特徴と読み方

VIX指数の数値は日々変動しますが、おおよその目安を知っておくと役立ちます。平常時(市場が比較的安定しているとき)のVIXは概ね10~20程度で推移します。この範囲なら市場は落ち着いている目安と言えるでしょう。

一方、VIXが20を超えて30に近づくようだと、市場参加者の警戒感が強まっていると考えられます。そしてVIXが30を超える水準は、かなり不安と恐怖が広がっている状況です。例えば世界的な金融危機や大事件の際にはVIXが急騰し、40を超える「パニック状態」とも言える値になることがあります。実際、2008年のリーマンショックや2020年3月のコロナショックでは、VIX指数が一時50~80台という異常な高水準を記録しました。まさに市場が極度のパニックに陥っていたことを示しています。

もう一つ重要な特徴は、株価との関係です。一般的にVIXが急上昇するとき、米国株(S&P500など)は急落しているケースが多く見られます。これは、株価下落局面では投資家が先行きに強い不安を感じてリスクヘッジ目的でオプションを買い、VIXが跳ね上がるためです。逆に株価が緩やかに上昇している局面では、VIXは低下または安定する傾向があります。ただし注意すべき点として、VIXは「将来の変動幅の大きさ」全般を示すため、本質的には上昇相場でも変動が激しくなりそうなときには上昇します。しかし現実には、株価急騰局面は緩やかな値動きである場合が多く、急激な変動は下落局面に偏りやすいのも事実です。そのため結果的に「VIXが上がると株価が下がる」という現象がしばしば観察されます。

VIXの活用方法

VIX指数は投資家にとって市場の温度感を知る有用な手掛かりです。活用方法としてまず考えられるのは相場の局面認識です。VIXが極端に低い時期は市場参加者がリスクをあまり感じていない「楽観相場」である可能性が高く、そのような時にはかえって注意深くなる投資家もいます。なぜなら過度な楽観はしばしば相場の天井圏で見られるからです。反対にVIXが急上昇して非常に高い水準(30台後半~40以上)にある時は、市場が恐怖に包まれている局面と言えます。多くの銘柄が売られ相場が急落している一方で、その時点は悲観が極まったタイミングとも言えます。経験豊富な投資家の中には、VIXが極端な高水準に達したときこそ「恐怖が最大化した」と判断して、逆に株式を買い向かう(いわゆる**「人が恐れているときに買え」**という格言に則る)ケースもあります。こうしたVIXの数値をヒントに市場の過熱感や恐怖感を測り、売買の判断材料にすることが可能です。

また、直接的にVIXそのものを取引対象とする方法もあります。上級者向けにはVIX先物やVIX連動ETF/ETNといった金融商品を使って、ボラティリティの上昇・低下に投資する戦略も存在します。ただし、これらのボラティリティ関連商品は価格変動が非常に大きく特殊な仕組みも伴うため、初心者にはお勧めできません。最初はあくまで参考指標としてVIXを眺め、相場全体の雰囲気を掴む用途から始めることをおすすめします。

日本にもある恐怖指数:日経平均VI

VIXはアメリカ市場の指数ですが、日本にもこれに相当する「恐怖指数」が存在します。それが**日経平均ボラティリティ・インデックス(日経VI)**です。日経平均VIは日本の代表的株価指数である日経平均株価のオプション価格を元に、今後1ヶ月の予想変動率を算出したものです。考え方はVIXとほぼ同じで、日経平均VIが高いほど日本株市場の不安心理が大きいことを意味します。

例えば、2020年3月に日本株が急落した際には日経平均VIも急上昇し、一時80近くを記録しました。これは同時期に米国VIXが急騰したことに対応する動きであり、世界的な株安パニック時には国内外のボラティリティ指数が揃って跳ね上がることを示しています。このように、日本市場を見る上でも日経平均VIは有用な指標であり、国内投資家はチェックしておくと良いでしょう。

まとめ

VIX指数(恐怖指数)は、初心者から上級者まで注目すべき重要な市場指標です。数値の変動を追うことで、現在の市場心理が楽観に傾いているのか、不安が高まっているのかを把握できます。ただし、VIXはあくまで相場全体のボラティリティ期待値であり、万能の予測指標ではありません。急騰したからといって必ず暴落が起きるとは限りませんが、経験則的にはVIXの動向に注意を払うことはリスク管理上有益です。

ぜひVIX指数を日頃のマーケット分析に取り入れてみてください。市場全体の心理状態を示す体温計として、きっと役立つはずです。

なお、VIXと株価の関係についてさらに詳しく知りたい方は、『VIXが上昇すると株価は下がる?相関関係を徹底解説』も参考にしてみてください。VIX急騰が本当に株価下落を意味するのか、データや事例を交えて詳しく解説しています。

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